今日は、4月に異動される副部長と若手数名とで飲み会だった。
副部長の異動が決まった時に
「らむねちゃん~折角だし最後飲みに行こうよ~人選は任せるね~」
と、僕は若手の飲み面子集めを任された。
ちなみに副部長は女性で、いつも穏やかで、小分けのお菓子を食堂に置いてくださったりする若手からも好評なお方だ。
それ故に「今度副部長と飲みに行くけど、行きたい人~」と声をかければ恐らく都合のつく若手は全員出席する。
だが僕は、若手全員に声をかけなかった。
僕は部署にどうしても苦手な後輩が1人だけ居る。
彼の話は面白みに欠け、プライドが高く仕事はろくすっぽ出来ないくせに後輩への無駄な指導だけは一丁前。やたらとマウントを取りたがる。
話し声も、顔も、笑い声も全て僕の癪に障る。
声を聴くのも顔を見るのも大嫌いな後輩だ。
「生理的に無理」というやつだ。
僕も大人だから最低限の挨拶くらいはする。
だが、もう半年以上は雑談をしていない。
彼も鈍感ながら僕に嫌われていることはとっくに気づいているだろう。
誰彼構わず気さくに冗談を言う先輩が自分にだけ何も話を振ってこないなんて、おかしいと思わない方がおかしい。
そして恐らく、彼も僕のことを嫌いだろう。
だが、面白いことに彼を嫌っているのは僕だけではない。
同じ班ほぼ全員と、彼の直属の上司ですら、彼のことを良く思っていない。
それ故に、同じデスクで仕事をしたがる人がおらず、そのことはデスク編成をする課長の耳にも届いており頭を抱えていた。
さて問題です。
「先輩として、いや、人として僕は飲み会に彼を誘うべきでしたでしょうか。」
僕の中での答えは「NO」だ。
小学生、中学生、或いは保育園児や幼稚園児ですら先生から教わるだろう。
「みんなで仲良くしましょう、仲間外れは良くないことです。」と
だが、残念ながら我々が生きている世界はそう上手くはいかない。
生きていくうえで、必ず嫌な人間と出会ってしまう。
これは自然の摂理なのだ。
人が人として生きる上で抗えない事なのだ。
「怨憎会苦」とも言う。
前にも書いたが、「2:6:2の法則」というものがある。
どうしても嫌いな人間というのは生きていれば出会うものだ。
「嫌いな人間と無理して付き合うことはない」と僕は思う。
仕事上で付き合わなければならいのはしょうがない。それは仕事と割り切るしかない。
ただ、プライベートまでわざわざ仲良くなる必要はないと思っている。
自分が嫌いな人間に好かれようと努力するくらいなら、自分のことを好きでいてくれる人にもっと好きになってもらえるよう努力した方が100倍マシだ。
苦手なら苦手、それでいいのだ。
無理に現状を変えようとする必要はない。
「嫌いな人間に対しては徹底的に干渉しない」というスタンスを貫いたおかげで、今日は楽しくお酒を飲むことが出来た。
僕を人集めに使ってくれてありがとう、副部長。
30歳にもなってみっともないと思うかもしれないが、これが人間という生き物なのだ。