発達障害と診断されたけれども

生きるってつらいよねっていうアラサー会社員です。くだらないこともたくさん書きます。

捨てられないティッシュと舞う精子

僕はティッシュが捨てられない。

 

なんで捨てられないのか分からないけれど、使ったら使ったままそこに置いておく。

「使ったティッシュは捨ててっていつも言ってるよね」と妻から毎日のように怒られる。

会社でも鼻をかんだティッシュやガムを出したティッシュをそのままにしておくことがある。

周りは迷惑しているかもしれないが、捨てられない。

「捨てなきゃな」と常々思ってはいるのだが、どうしてもその一歩、捨てるという動作の重い腰が上がらない。行動に移せない。

 

 

中学生の頃、僕は一人部屋を与えられた。

一人部屋と言っても引き戸をあければ両親の寝室に繋がっているし、僕の部屋からしか洗濯物が干せないため母親は毎日入ってくるからそこまで大そうな部屋ではない。

それでも、中学生にとって一人部屋というのはこれ以上にない最高の環境だった。

祖父からPCも譲ってもらい、オンラインゲームにもハマった。病的なくらいハマった。

 

 

オンラインゲームの話は置いておいて、僕は時同じくしてマスターベーションを覚えた。

性に多感な中学生にとって、覚えるなという方が無理な話だろう。

最初はトイレやお風呂でこそこそとすることが多かったが、2年生、3年生と学年が上がるにつれて部屋でするようになった。

 

部屋ですると何が問題か、そう、射精したあとのティッシュの処理だ。

臭いがするからゴミ箱には捨てられない。かといってトイレに流すわけにもいかない。

じゃあどうするか。答えは簡単だった。放置すればいいのだ。

毎日、毎日、勉強机に使用済のティッシュが溜まっていった。

雪が降り積もるかのように勉強机がティッシュで埋め尽くされていく。

 

ただ、さすがに一度も捨てなかったということではない。

ある程度蓄積され、そろそろまずいかなぁと思ったタイミングでまとめてスーパーの袋に捨てていた。

射精したティッシュは、最初のうちは臭うのだが、3日もすればカピカピに乾燥して、ただの黄ばんだティッシュになる。

――鮮やかな緑色の菜の花が、気が付いたらいつの間にか可憐な黄色い花を咲かせているように。

 

 

中学2年生の冬、僕の部屋で両親と大喧嘩になった。

オンラインゲームに依存していた僕は当然勉強なんかできない。

かといって、中学を卒業してすぐに働けるような根性もない。

故に、この先に控える高校受験をどうするつもりなのか大揉めに揉めた。

 

父は今でこそ落ち着いているが、当時は頭に血が昇ると暴れまわるタイプだった。

夫婦喧嘩のとき、「死んでやるよ!」とベランダ(2階)から身体を乗り出すような人だった(本当に死ぬ勇気はない)。

 

僕の受験に対する考えの甘さ、いや、人生に対する舐めた態度が逆鱗に触れたのだろう。

「ふざけるな!」とかなり大きな僕の勉強机をひっくり返した。

机が倒されると共に飛散する、大量の僕のカピカピ菜の花ティッシュ

 

父も母も一瞬見せた唖然とした顔を僕は見逃さなかった。

父は気を使ってくれたのだろうか。「ティッシュくらい捨てろ!」と部屋から出ていった。

 

それ以来、ティッシュをちゃんと捨てるように……ならなかった。

これだけ馬鹿な恥ずかしい経験をしたのに、僕はそれでもティッシュを捨てることができずに成長してしまった。

そして今日に至る。

 

最近はご飯を食べた後に出たティッシュは必ず捨てるように心がけている。

それでも、例えばPC前に座っていて使ったティッシュは「後で捨てよう」と思って、結局そのまま放置して妻に怒られる。

 

捨てられない自分を分かってほしい、理解してほしいとは思わない。

誰がどう見ても悪いのは捨てられない僕だ。120%僕に非がある。

 

使ったティッシュを捨てられないのであれば、首にゴミ箱でもぶら下げておけば良いのではないかと僕は思うが、それはやりたくないので、これからもできる限り捨てることを忘れないように心がけたい。